派遣社員で退職を考えている人へ。手続きの流れを紹介!

派遣社員として働いている人のなかには退職を考えている人もいるでしょう。しかし、退職時の手続きを間違えると面倒なことに巻き込まれる恐れがあります。そこで今回は、退職手続きの流れ・退職日が決まった人はどんな行動をとるべきか紹介します。 

目次

派遣の退職理由を見てみよう 

派遣を退職する理由は、人によって異なります。はじめに、退職する人の理由を見てみましょう。 

時給が高い派遣の仕事が見つかった 

現在働いている職場よりも、待遇の良い仕事が見つかって退職する人はいます。「今の職場と比べ時給が〇円上がる転職先を見つけた」という理由で退職する人も多いです。 

健康状態が悪くなった 

過労によって体調不良を起こして退職する人もいます。「胃潰瘍、脳疾患、精神疾患」など、さまざまな病気があります。連日残業・休日出勤が発生する会社の場合、体調を崩す可能性は高まるといえるでしょう。とくに「職場の社員数が少ない」、「取引先からの受発注が多すぎる」、「残業、休日出勤が習慣になっている」企業での勤務だと、派遣社員であっても過労を起こし体調を崩してしまうのです。
なかには、職場環境が原因で入院に追い込まれるケースもあります。身体に異変を感じたときには、速やかに派遣会社の担当者へ相談しましょう。 

引越しが発生した 

「親の介護で実家へ帰る」「パートナーの転勤で引っ越す」などが理由で、仕事を辞める人もいます。引越し先から今の職場へ通える人であれば退職の必要はないでしょう。しかし、そうではない方は会社を辞めざるを得ません。派遣会社によっては、引越し先での派遣求人を紹介してくれるケースもあるので相談してみてください。 

スキルアップをしたい 

例えば、経理アシスタントとして働いていた人であれば「財務」の業務にもチャレンジしたいといった形です。派遣業務は、原則派遣契約で締結された業務以外は関われないことになっているため、現在の業務に飽きがきて退職する派遣社員もいます。
ただ、転職した人のなかには「転職先の業務が激しすぎて、会社を辞めなければよかった」と後悔する人もいるようです。 

派遣契約で結んだルールが守られていない 

勤務先企業から、契約内容にない業務を指示されたりサービス残業を命令されたりするケースです。派遣会社の担当者へ相談後、改善されるケースはあります。ただ、その一方で派遣会社に相談しても解決しないことがあるのも事実です。
悪質な派遣会社の場合「企業から今後求人をもらえなくなるといけないので、我慢をして働いてください」といわれるケースもあるため派遣会社は慎重に選びましょう。

派遣の退職手続きの流れ(概要)を見てみよう

スムーズに退職するには、「流れ」に沿った手続きを踏むのが大事です。この章では、退職希望を伝えるところから、退職するまでの流れを紹介します。 

ステップ1:派遣会社の担当者へ相談する 

派遣会社の担当者へ相談することから始まります。あくまで雇用元は派遣会社なので、勤務先企業の担当者へ相談するのは控えましょう。なお、派遣会社の担当者へ相談するときは、「職場を退職したい理由」、「職場を退職したいと思っている日付」、「退職後のプラン」は最低限伝えることをおすすめします。
このポイントを抑えておくと派遣会社の担当者とのやり取りもスムーズに進むはずです。退職予定日が迫っている場合は、派遣会社の担当者へ連絡(電話)をして話し合う時間を素早く決めてください。 

ステップ:退職が承諾された後、直属の上司に一言伝える 

派遣会社に退職が承認された後は、直属の上司に退職する旨を一言伝えましょう。なかには退職することを全従業員に伝える人もいますが、職場内を混乱させる恐れがあるため控えた方がよいでしょう。 

ステップ:業務の引継ぎ作業・不要な書類の処分をする 

業務の引継ぎ作業・不要な書類の処分をすることも大事です。業務の引継ぎにおいては、マニュアルの作成・業務概要の説明などがあります。不要な書類の処分をするときは、上司に確認してから処分しましょう。ただ、これらの業務を1~2日程度で終わらせるのは難しいため、ある程度の時間をとっておきましょう。
また、書類の一部を外部(社外)へ持ち出すと「情報漏洩」で罰せられる可能性もあるため、処分をする書類だとしても慎重に取り扱ってください。 

ステップ4:メールで最終出社日を伝える 

最終出社日の数日前になったら、関係部署・取引先にメールで最終出社日を伝えましょう。なかには、最終出社日を伝えずに退職する派遣社員もいます。
しかし最終出社日を知らせずに退職すると、あなたが行っていた業務を誰に任せればよいか分からなくなり職場内が混乱することもあります。他の人に迷惑をかけないために、関係者には前もって最終出社日を伝えておきましょう。  

ステップ5:最終出社日までにやるべきことを、全て済ませたか確認してから退社する 

中途半端な状態で退社すると、退職後に派遣会社や勤務先企業から連絡が来る可能性があります。例えば「備品の場所が分からない」、「業務の仕方が分からない」、「取引先名簿の場所を教えてほしい」、「私物がデスクのなかに入っているが、どうすればよいか」などです。
退職したのに連絡が来るのは嫌ですよね。それを防ぐためにも、最終出社日にやり残したことがないか確認するのは重要です。あらかじめ「やることリスト」を作成しておくと役立つので活用してみてください。 

退職希望日の1カ月以上前に派遣会社へ伝えるべき理由とは 

一般的には、退職希望日の1カ月以上前に派遣会社の担当者へ伝えた方がよいです。この章では、その理由を見てみましょう。 

シフトの関係 

シフト制の会社だと、毎月末までに翌月のシフトが発表されます。仮に2018年7月のシフトが発表されている状態で、派遣社員が「2018年7月1日に退職したい」といった場合シフトを作り変える手間が発生します。
ここでいう手間とは、「他の従業員に確認をとらなければならない」、「上司の許可をとらなければならない」、「新しい人材を募集しなければならない」などです。シフトを作り変える手間を発生させないためにも、退職希望日の1カ月以上前に仕事を辞めたい旨は伝えた方が良いでしょう。 

余裕を持って仕事の引継ぎを行える 

退職希望日の1カ月以上前に退職を伝えれば、引継ぎに十分な時間を割けます。短期間での引継ぎだと、定時間内では終わらずに連日残業が発生する可能性が高くなります。引き継ぐ業務内容が多い場合だと、引継ぎ期間が1カ月前後では足りない場合もあるので、退職前に意識しておきましょう。 

派遣契約途中で退職しても大丈夫? 

働いていると派遣契約途中で退職したくなる人もいます。しかし、契約途中で退職してもよいのでしょうか。ここからは、派遣契約途中で退職できるか紹介します。 

原則は退職しない方が 

契約途中での退職は控えた方がよいでしょう。理由は、契約違反と捉えられる可能性が高いからです。派遣会社からの印象が悪くなると、新しい求人を紹介してもらえなくなる可能性が高まります。
しかも、契約途中の退職によって派遣会社側では急遽新しい人材を探す作業が発生します。派遣会社からの印象を悪くしないためにも、契約途中での退職はおすすめしません。 

更新日以外での退職が認められるケースある 

理由によっては、更新日以外での退職が承認されるケースもあります。「職場が理由で体調不良を起こした」、「職場が派遣契約のルールを一向に守らなかった」などの理由であれば、派遣会社の担当者が「派遣社員をすぐに辞めさせないと大変な事態になる」と判断し、退職が認められる可能性も高まるでしょう。
ただ、そうはいっても派遣会社と勤務先企業の話し合いが上手くいかない状況だと退職を認めてもらうことは難しいです。円満退社するためにも、極力更新日まで働くことをおすすめします。 

派遣の退職が決まったら、挨拶メールは送るべき? 

派遣の退職時には、挨拶メールを送った方がよいでしょう。ただ、挨拶メールを送る際はいくつかの注意点があります。 

必要な文章だけ記載する 

挨拶メールには必要な文章だけ記載しましょう。メールの文章が長くなると何度もスクロールをしなくてはいけなくなり読み手に負担を与えます。記載した方がよい主な内容(項目)は下記の通りです。 

  • 部署名・名前 
  • お礼の挨拶 
  • 退職する日付 
  • 後任者 

 

従業員によっては、1日に数百通のメールを確認しているため文章を読むだけでも辛いと感じる人もいます。相手へ気配りするココロを持ったうえでメールの文章作成をしましょう。 

メール送信の時間帯を選ぶ 

メールを送信する時間は選びましょう。とくに避けた方がいのは、始業時間の前後です。始業時間の前後は、前日にさばき切れなかったメールを確認している可能性があるからです。長期連休後の出勤日はメールが大量に溜まっていることが多いので覚えておきましょう

派遣の最終出社日が決まった段階で行うべきことは 

最終出社日が決まって身体の力が抜けてホッとする人もいるでしょう。ただ、最終出社日が決まった段階でやらなければならないこともたくさんありますこの章では、何を行うべきか見てみましょう。 

会社から借りた備品がそろっているか確認する 

最終出社日には会社から借りた備品を返却するので、そろっているか確認しましょう。なお、備品は主に下記のものがあります(備品の内容は勤務先によって異なります)。 

  • 筆記用具 
  • ノートパソコン 
  • 社内用携帯電話 
  • セキュリティカード 
  • カギ類 etc. 

 

備品の紛失は、多額の損害賠償請求をされるケースがあります。とくに、ノートパソコンや社内用携帯電話などには、たくさんの個人情報が詰まっているため慎重に取り扱ってください。仮に、毎日自宅へ持って帰っているのであれば電車の網棚には置かず肌身離さず持っておくことをおすすめします。 

次の就職先を見つける 

次の就職先を見つけるための行動をするのも重要です。なお、就職先を効率的に見つけるためには、以下の内容を実践してみてください。 

複数派遣会社に登録する 

1つの人材会社に登録するよりも、複数の派遣会社へ登録した方がよいです。理由は、紹介してもらえる(検索で発見できる)求人数が増えるからです。求人によっては特定の派遣会社でしか扱っていない求人もあります。
また、同じ業務内容の求人をいろいろな派遣会社で取り扱っていたとしても派遣会社によって時給の設定額が違うケースもあるので、複数の人材会社を使って求人を探しましょう。 

自分からたくさん求人に応募する 

求人にたくさん応募することも大事です。積極的に応募することで、あなたと相性の良い求人が見つかる確率も上がります。完全紹介制の派遣会社を利用する場合でも、「紹介していただける求人はございますか」と聞くのも1つの手です。派遣会社によっては電話での問い合わせで求人を紹介してくれるケースもあるので試してみてください。 

妥協する部分を決めておく 

求人内容で妥協する部分を決めるのも1つの手です。妥協点を1つ作るだけで、あなたに合う求人数が何百件・何千件と増えるケースもあるので覚えておきましょう。ただ、妥協点をつくるときに注意すべきことが1点あります。
それは妥協をしすぎないことです。確かに妥協点をたくさんつくると自身に合う求人数は増えます。しかしその反面、求人を選ぶときの基準が曖昧となり就職後に後悔する人もいるため、求人を選択するときにはある程度のこだわりを持った方がよいでしょう。 

印象を良くする 

派遣会社からの印象を良くするのも大事です。理由は、あなたの印象によって求人を紹介してもらえる可能性が変わるからです。仕事のスキルが高かったとしても、印象の悪さが理由で求人を紹介してもらえないこともあります。
逆にいえば、仕事のスキルは低くても印象が良いから求人を紹介してもらえるケースもあるということです。そのため、人材会社のサービスを利用するときは笑顔で丁寧な会話を心掛けましょう。 

就職先が見つからない場合は、失業給付手続きを利用する 

就職先が見つからなかった場合は、失業給付の手続きを行いましょう。失業給付とは、一言でいうと無職の人が利用できる雇用保険です。働いていない間は、一定期間お金が支給されます(無職でも支給されないケースもあります)。なお、失業給付手続きの流れは下記の通りです。 

ステップ1.失業給付の審査 

失業給付の審査を受ける必要があります。審査時には、離職票が必要となるので忘れずに持っていきましょう。無事審査に通った人は、次のステップへ進めます。 

ステップ2.受給説明会に参加する 

失業給付の制度を利用するときには、受給説明会への参加が必須です。受給説明会では失業給付を受給するときのルール・受給日の説明などが行われ、失業給付の受給を受けたい人は、原則説明会に参加する必要があります。
なお、説明会終了後にはハローワークより雇用保険受給資格者証、失業認定申告書が発行されます。失業給付を利用する間、必要な書類なので紛失しないようにしましょう。 

ステップ3.就職活動を行う 

受給資格を得るには就職活動を行う必要があります(ここでいう就職活動とは「ハローワークでの求人検索」、「企業で面接を受ける」などを指します)。また、就職活動を行わなければならない回数も人によって違うため気を付けてください。 

ステップ4.指定日に最寄りのハローワークへ行く 

ハローワークでは、毎月1回「失業の認定」が行われています。指定日にハローワークへ行きましょう(ハローワークの場所は指定されています)。失業の認定をされた人は、ハローワークより後日(失業の認定から5営業日前後)、指定口座にお金が振り込まれます。
ただし、途中で転職先が決まったり起業をしたりした(開業届を出した)場合は、ハローワークへ報告して失業給付のストップをしてもらわなければなりません。ルールを破ると、多額のペナルティが発生することもあるので気を付けてください。 

退職の相談は派遣会社の担当者にしよう 

退職をしたいと思った人は、まず派遣会社の担当者へ相談しましょう。あなたに合ったアドバイスをしてくれるはずです。誰にも相談せずに退職をすると、派遣会社だけではなく勤務先企業にも迷惑をかけます。円満退社をするために重要なことなので覚えておきましょう。 

※本記事の内容は2018年7月現在の情報です。 

参考書籍: 

  • 人材派遣のことならこの1冊(著:岡田良則) 
  • パート・契約社員・派遣社員の法律問題とトラブル解決法(監修:小島 彰)